世界アラブ研究所・ルーヴル美術館共同で現在行われている『フェニキア展』行って来ました。アルファベットはレバノンのByblos, Tyr, Sidon等の港湾都市を起点に地中海全域で活躍した海の民、フェニキア人が当時カナンの地まで進出して来たエジプトやメソポタミア文明の影響を受けつつ創造し、海上交易の中、古代ギリシア人との接触で広まったのです。ギリシャ語の字母(alphabetum)のうちυからωまでの5文字はギリシャ人が創出したものですが、αからτまでの19の文字はフェニキア文字からの借用。例えば「アルパ」は西セム諸語で「雄牛」を意味する言葉です。「Α」のもとになったのはフェニキア文字ので、この文字は雄牛の頭を型取っている。βは「家」を意味する「ベートゥ」に、κは「手のひら」を意味する「カップ」に、τは「印」を意味する「タゥウ」に由来する。もともと象形文字だったのは興味深いですね。因みに、ギリシア固有に造り出されたいわゆる「線文字B」はギリシア語の音を表すのに不便であったため、ミケーネ文明が滅びると共に消滅してしまいます。